本気ファクトリー株式会社

事業責任者 Boot Camp

公益財団法人 澤田経営道場

澤田経営道場が目指す未来を担う人材育成研修として飲食業をリアル体験

2024.02.12

導入の目的

未来を担う人材を育成するにあたり、飲食経営は、事業の実践編としてシンプルなモデルなので、起業家として役に立つ体験として導入した。

利用状況

参加メンバー4名が飲食店(ラーメン店)の立ち上げを1カ月間かけてプランニングし、2023年7月中旬より9月末まで実店舗を運営

澤田経営道場は、H.I.S.創業者の澤田秀雄氏が開講した、グローバルで活躍できる起業家や政治家、リーダーなど、未来の起業家の育成機関です。1980年代初頭に起業した澤田氏は、ソフトバンクの孫氏、パソナグループの南部氏と共にベンチャー三銃士と呼ばれ、志を持った経営者として社会にインパクトを与えました。
しかし平成以降失われた30年と呼ばれる日本社会に今求められるのは、チャレンジを恐れない次世代のリーダーであると、2015年に道場を開講し、育成プログラムを実施しています。

事務局長の渡邉拓斗氏は、実地経験として道場では得られない、「実際の現場でやってみなければわからないこと、あるいは、やっていく中で気づくことがある」と、「飲食店立ち上げ研修」の導入を決めたといいます。研修の取り組み内容や、実際に導入したあとの変化についてお聞きしました。

1. 澤田経営道場のプログラム

-まずは、プログラムの内容を教えてください。

澤田経営道場では、座学研修と、起業、経営、政治など必要な知識をインプットし、その後、実地研修として現場での研修を行います。
自身が経営者となった際にその経験を生かしていけるような研修です。基本的な事業のブラッシュアップをしつつ、現場で経営者の目線での数字やチームをマネージメントしていきます。

-道場でのプログラムの期間と卒業生で起業した人の割合は?

プログラムの期間は2年で、半年の座学、1年のインターンシップを経て、最後の半年は起業の準備を行います。2015年開講以来、道場の卒業生は40名で、そのうち6割の方が起業しています。

-実際に起業した卒業生は、どのようなビジネスを展開していますか?

さまざまな業種でビジネスを展開していますが、例えば1期生として入門したホ・ヨンジュさんは、2017年に「変な商社株式会社」を起業し、ホテルのアメニティなどのグローバル商事事業をスタートしています。その後IT事業も立ち上げ、受発注システムを開発し、現在さまざまなホテルに導入すべく営業活動しています。

2. 研修の概要と受講前の課題

会社主導で作ったインターンシップの現場では得られなかった道場生たちが直面した現場のリアル

自らの手で創り、接し、数字を鑑みる、そして改善

-今回導入した「飲食店立ち上げ研修」の概要を教えてください

本気ファクトリーさんが既に実施されている研修プログラムが、弊道場でも使えると考えご提案いただきました。起業する上では座学で学ぶことも重要なのですが、最終的には、現場でやってみないとわからない、あるいはやっていく中でわかることがあります。

-「飲食店立ち上げ研修」導入の決め手は何でしたか?

飲食は、仕入れて、売値をつけて、売っていくというシンプルなモデルなので、実際起業した時にも役立つというお話しをいただいたので、導入を決めました。

ビラ配りで販売促進を学ぶ

-導入時期は?

2022年11月~12月で、お店のオープンは2023年7月中旬から9月です。

-「飲食店立ち上げ研修」の導入前、どんな課題を抱えていましたか?

道場では、現場で学べる期間を設けているのですが、あくまで会社主導でつくった中に参加してもらっています。
本気ファクトリーさんのプログラムは、道場生だけで研修に取り組み、例えば、仕入れの原価や売値、販管費、家賃、給与などの数字の管理を行うので、経営をより身近に感じられたのではないかと思います。
今までの我々のプログラムの中では、そこが取り入れられていませんでした。

3. 実際に導入してみて

コミュニケーションの難しさに直面。役割分担をつくっていくところから自分たちで考えてもらう

麺のゆで加減、味付けにはひと苦労

-4名はどのようなメンバーで構成されているのでしょうか?

年齢は、26歳から39歳で、バックグラウンドもバラバラです。事業を立ち上げようとしている方、政治家志望の方など、飲食店で働いた経験はもとより、料理の経験もないような方々です。

-実際に導入してみた感想はいかがですか?

最初にそれぞれの役割分担を明確にしないまま進めようとしたので、コミュニケーションの難しさを実感したようです。
しかしながら最終的には4人の中からリーダーが出て、つくる、接客をする、ビラを撒くなど各々役割を分担したそうです。
私達が口出しすることはなく、あくまでメンバー4人の中で解決してもらいました。

商圏、ランチのトレンド分析も学びのひとつ

-店舗運営はどうでしたか?

今回は本気ファクトリーさんにご用意いただいた、ラーメン店の経営にチャレンジしてもらいました。ラーメンは、多い時には1日12.3杯出たようで、2カ月ちょっとやりました。時折様子を見に行っていたのですが、ラーメン作りは作り手によりゆで加減や味の濃さなどクオリティが違いました。

もっとも味の追求がメインではないのですが、最終的な収支としては、利益が2,000円ほど。しかし人件費は入れていませんから、オペレーションの工夫をしないと利益を出すのは難しいということを学べたのは、良かったと思います。

4. 導入の成果

工数はかけたが利益を残すことの難しさを学ぶ

飲食業を通じたチームづくり、
互いの役割や連携の大切さを学ぶ

-「飲食店立ち上げ研修」参加者の感想はいかがですか?

チームをつくっていくことの難しさと、収支でしょうか。
現場以外で、自宅でもラーメンの仕込みをしていたそうです。つまりは、工数はかけたものの、利益を残すことが難しかったということです。
商圏の規模や需要を選定し、客のニーズをつかんで商品とサービスを提供するという感覚を実践で養うことができたことは大きな学びがあったようです。

-「飲食店立ち上げ研修」のプログラムに期待することは?

今年はトライアルの取り組みでしたが、次回以降は、研修期間の中間で一度フィードバックをいただき、そこで改善をして後半の研修に取り組んでもらえれば、より結果を出せるのではないかと思います。そして最後にまたフィードバックをもらえれば、より受講生にとって実りになるのではないかと思います。

-導入の成果を活かして、これからどんなことに取り組みたいですか?

実は、次回はよりオペレーションが簡易な商品でもって、月-金の平日フルで1カ月間運営しようと考えています。
商圏やどういうランチの人気が高いのか、商品選定から売価を決めるところまでやりたいと思っています。
小さな事業でも一回転させきることで、経営や事業開発に直結する経験値が上がることを今回同様に期待しています。

-同様の課題を抱える企業に対して、本研修プログラムをすすめますか?

企業で働く人は、決まった役割や業務をやっているわけですが、異なる役割を学ぶことが、より統合的に企業活動を理解するためには必要なことです。幹部層になるには当然求められる視点となります。企業活動全体のオペレーションを把握することで、本業に活かせる点は多く、その点で本研修プログラムは効果的です。

確かに、多くの職場でも時間をかければ、営業が経理を学んだり、経理がマーケティングを学んだりすることで、各々の業務がどう関わり、次に繋がるのかを複合的に経験させていくことは可能です。

ただ、本研修プログラムは、それを圧倒的短期間で学ばせることができました。同時に、企業にとっては誰がどういう立ち振る舞いをするのかを通して、ポテンシャルが見えるため、優秀な人材を見極めるスクリーニングにも活用できます。何より、本研修プログラム自体が人材を飛躍的に成長させるアウトカムが期待できる舞台装置として機能します。昨今、人的資本が言われますが、企業としても独自性を打ち出す本研修プログラムを取り入れていること自体がステークホルダーから評価される対象ともなるのではないでしょうか。

総じて、社員にとっても成長の機会としてプラスに働きますし、企業にとっても、視座の高い人材が増えるのでプラスに働きます。ぜひ、お勧めしたい研修プログラムとなっています。

-渡邉さん、ありがとうございました!

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