僕はハッとした。
完全にマーケティングに対する前提が違かったからだ。
詳しくは後述する書籍を読んで欲しいのだが、少しだけ説明させてほしい。どうしてwebマーケティング担当に敏腕営業マンを抜擢すべきなのか。
ストーリーはこうだ。
中小零細企業の社長が「うちでもwebマーケティングを導入したい」と言い出した。そこで少しでもITやシステムに詳しい社員をその担当に抜擢しようとしていた。
社長の考えはこうだ。「自分自身はインターネットにはあまり詳しくないので、社内で少しでもその分野に長けているような社員を登用した方がいいだろう」ということであった。
しかしこの人事はあまり適切ではない。
なぜか。
それはwebマーケティングはITやシステムの延長ではないからだ。
そもそもマーケティングは何を目的として行うものなのだろうか。
端的に言えば、「自社の商品を自分たちの届けたい顧客に適切に届けること」だ。
となると、マーケティングが得意であろうとされる人材要件は以下のようになるはずだ。
・自社の商品の効果的な売り方を知っている人。
・自社の商品を届けるべき顧客をよくわかっている人。
これに当てはまる人材は普段どんな仕事をしているか想像してほしい。
そう、「営業」だ。
営業マンは自社の商品を顧客に提供する仕事をしている。
敏腕営業マンなら、なおさら自社の商品の効果的な売り方をよく知っていて、かつ自社の商品を届けるべき顧客をわかっているのだ。
一方で社長が抜擢しようとしていたITやシステムに携わる彼はどうであろうか。
システムとは仕事の工数を削減したりする業務の効率化をするためのものである。そのため営業のように自社の商品に常日頃から接するような業務ではない。本質的に向いていないのだ。
■本当にあったある意味怖い話
この書籍を読んで、社長と同じような考えを持って失敗した自らの体験談を思い出した。
僕が昔、属していた会社のwebマーケティング担当は少しコーディングができて、PhotoshopやIllustratorなどのデザインもいじれる人だった。書籍に出てくる社長が、まさに抜擢しようとしていた人材と重なる。
そんな「彼」にwebマーケティング全般を任せていたのだが、一向に成果が出ない。半年経っても、集客・認知度共に全く振るわなかった。
他のメンバーに変えようにも、その分野に関して明るいメンバーがいなかったため、仕方なく「彼」に任せていた。
書籍を読んでから振り返ってみた、「彼」は敏腕営業マンであったかを。
まだ僕も入社していない頃。
「彼」はwebマーケティング担当に着任する前、営業を2年ほどしていたらしい。「彼」の同僚に当時の話を聞いたのだが、その惨状に僕は驚いた。
「彼」は2年間で成約数はなんと0件。別にサボっていた訳ではないそうだ。サボっていた訳ではなくて、この惨状は相当センスがないのであろう。
自分の担当企業を一向に獲得できない「彼」は、上司の案件を引き継いで、クライアントとのやりとりを任せてもらっていた。しかしそこでも事件が起きた。「彼」の不義理でクライアントとの契約が破棄されてしまったのだ。そのクライアントがロイヤルクライアントだっただけに損失は大きかったそうだ。
それでも「彼」は辞めさせられずに会社に残ることができた。
そんな「彼」に任された次の仕事がそう、webマーケティング担当だったのだ。
到底結果が出るはずがない。
しかしその会社の経営陣にマーケティングの本質をわかっている人がいなかったためにこの惨事を招いのだ。
この記事を読んだ人は振り返ってみてほしい。
自分の会社のwebマーケティング担当はどんな経歴を辿ってきた者なのか。敏腕営業マンだっただろうかと。
もし前述の「彼」のような人であったら、すぐに社長へ申し立てるべきだ。
「今すぐ代えてくれ」と。
そんな体験談を思い出させてくれた書籍がこれである。
マーケティングに対する誤った前提を取り払いたい方はぜひ購入してもらいたい。
小さな会社 ネット集客の鉄則 90日で結果を出し、5年先も使える!
高田 晃 (著)
文責:藤井遥己