会社員の佐藤雄介です。畠山さんのお話を聞いて、せっかくの機会ですので記事にしてみました。
日本は恵まれているという理想と終身雇用崩壊の現実
〜時代に取り残されない為の自立と依存を知る〜
現在の日本は恵まれていると感じますか?と質問されたときあなたはどう答えますか。ほとんどの人は恵まれていると答えるのではないでしょうか。日本にしか住んだことがない人は、日本は恵まれていると思うでしょう。しかし、2020年の幸福度ランキングでいうと日本は62位、2018年は54位、2019年は58位と年々下がっていっているが現状です。どうしてこうなっているのか、このままの働き方でいいのか、時代に取り残されないためにはどうしたらいいのかを少しでも考えるきっかけになれば嬉しいです。
①日本における人口やGDP、働き方の変化
日本の人口は2010年をピークとして減り続けています。かつて、アメリカ自動車産業の中心地として輝かしい発展を遂げたデトロイトは、産業の衰退とともに街の活力は失われ、2013年に財政破綻に陥り、現在では高い失業率や貧困、犯罪件数の多さが街の「名物」になっている。ニュースでの扱いも、街のネガティブな面ばかりが強調されることが多い。切り取られるイメージは大抵、崩れかかった工場や空き地だらけの街並み、火事で燃え尽きた家々、廃墟と化した商業施設。日本もこのデトロイトの例と同様に、このまま人口が減少すると、国が強くならなく、成長が止まり、貧困になり、犯罪が増えていくことも考えられます。
【図1】1965年 【図2】2020年
上図より、2020年以降も人口減少をし続ける予測がされています。より高齢化社会になり、労働人口がもっと減少し、若者の年金負担がどんどん重くなっていき、年金制度の崩壊の危機を迎えてます。人口の減少は我々が思っているよりも深刻な問題となっていることがわかります。
続いてGDPを見ていきましょう。日本は第2位の経済大国(現在は3位)まで築き上げました。そこまでの地位を確立した一番大きな理由は先進国の中でアメリカの次人口がに多かったということです。現在は中国が2位となり、いずれはインドにも抜かれていくことも予想されています。また、GDPの成長率でいうと日本の20年度の実質成長率はマイナス5.7%で世界161位です。(下図を参照)
GDPランキング(日本3位) GDP成長率ランキング(日本はマイナス)
上記より、2020年の成長率はコロナウイルスの影響も大きく関係していますが、2015年までの成長率で見ると人口減の影響は経済成長に大きな影響を与えていることがわかります。
②約30%しか全うできていない?終身雇用の実態とは。
現在のような終身雇用の原型が生まれたのは、大正末期から昭和初期にかけてだと言われています。
その後、第2次世界大戦後の高度経済成長期に企業は競争力強化を目的に、人材の囲い込みを行うようになりました。当時は製造現場での単純労働者のニーズが多かったため、「手足があれば十分働ける」だから、「悪いやつじゃなければとにかく採る。」という企業も多く、人材の取りあいになっていました。結果として社会人として何も経験がなくても正社員として優遇されるというところまで待遇が向上したのです。その仕組みとして「新卒一括採用」や「年功序列」を前提とした長期雇用が一般的になったのです。こうして、「終身雇用」は徐々に定着していきました。このようにして終身雇用はここ100年くらいでできあがった最近の制度なのです。そんな中、2019年4月、経団連の中西宏明会長は「企業が終身雇用を続けていくのは難しい」と言及し、2019年5月に、トヨタ自動車の豊田章男社長が「終身雇用の維持は難しい」と発言したことが、社会に大きなインパクトを与えました。右肩上がりの経済状況を前提とした終身雇用は、人口が減少し、経済成長も緩やかになっている現代では、年功序列型の終身雇用は崩壊していくことが予想されます。
③衰退していく社会の中で必要な力とは?
終身雇用が崩壊するとなったとき、あなたはそれでも1つの会社でずっと働きたいですか?ほとんどの人はNOと答えるでしょう。その場合、キャリアを考えると転職は絶対に必要となります。会社自体が人を雇用し続けるのが難しくなる中で、転職先の会社が必要とする能力やスキルを身につけなければならないです。転職先の会社が必要とする能力やスキルとは何か?今流行りのDX?それとも語学スキルか?マネジメントスキルか?もちろんそれらも大事ですが、一番大事なものは、変化に対応し続ける力です。20歳前後で社会人になる人がほとんどですが、平均寿命が80歳を超えている超少子高齢化社会の現代社会において、70歳くらいまでは働き続けないと生活できない人が大半でしょう。つまり、20歳から70歳まで約50年間は働き続けないといけないということです。50年働くということは、50年社会が変化するということで、50年後に必要な能力を50年後には身に付けておかねばなりません。ジョブ型雇用へシフトしている現在においては、これからさらに個の時代になっていきます。その時代に必要とされる能力を持った人だけの市場価値が上がり、さらに貧富の格差が開いていきます。現状維持は後退とよく言われています。時代に取り残されないように、焼け野原でも紙とペンがあれば稼げる力を身に付けることが重要です。※1
※1 [ 出典 ]神田昌典[かんだ・まさのり](経営コンサルタント)
④起業家としての働き方(アントレナーシップ)
アントレプレナーシップとは、事業創造に高い創造意欲を持ち、リスクに対しても積極的に挑戦していく姿勢や発想、能力などを指す起業家精神を意味します。 この起業家精神は、独立心や達成動機、独創的な発想力が中核となっており、大企業においても起業家精神を持つ人材の需要が高まっています。テクノロジーの進化に付いていけように、変化に対応できるように、スキルや知識を身につけるために、就職することは悪いことではなく、もちろん必要なことですが、一つの会社に定年まで勤め続けるというのは可能性としてあまり高くなく、いつでも社外で戦える準備をしておかねば、リストラがあった場合に右往左往することになります。また、会社員という働き方も昭和初期から平成にかけて普及していった労働のスタイルで、終身雇用同様「比較的最近の働き方トレンド」です。今は会社勤めが当たり前ですが、これがこのまま続いていくとは限りません。むしろ、流れとしては大きな組織に属さない働き方や複数の組織に属する働き方が主流となっていくでしょう。そのときに求められるのは「今、その人がどんな価値を提供できるか」です。現在の社会人の平均勉強時間は1日6分と言われています。たとえ、新卒時に優秀な人材だっとして、1日6分の勉強時間で50年間「価値を提供できる人間」であり続けることができるでしょうか。終身雇用という幻想に安穏として努力を怠るのではなく、より厳しい場で努力せざるを得ない状況に身を置いたほうが長期的に見て安全といえるのではないでしょうか。50年後も必要とされる人材であり続けるために、雇用形態がどうであっても、なにかに依存するのではなく、自ら未来を切り開いていくアントレプレナーとして働いていくことが必要なのではないでしょうか。